昔懐かしの肝油ドロップ。 どうして学校や幼稚園で配られているの？

昔、幼稚園や小学校で配布されていた肝油ドロップ。白くて甘いあの一粒を懐かしいと感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、肝油ドロップの「肝油」が何のことなのか、何のために食べていたのかを知る人は多くないようです。
ここでは、肝油ドロップに含まれるビタミンにはどのようなものがあるのか、またそれらはどのような働きを助けるのか。さらに肝油ドロップを食べすぎてはいけない理由とともにご紹介します。

そもそも肝油ドロップの「肝油」とはいったい何からできていて、どのような目的で配られていたのでしょうか。
そもそも肝油とは、サメやエイなどの浮き袋を持たない魚が、身体を浮かせるために肝臓にたくわえた脂肪油のこと。肝臓に含まれた栄養豊富な黄色の脂肪油が、肝油ドロップにつかわれているのです。肝油には、ビタミンAやビタミンDなどの栄養素が多く含まれており、これらの欠乏症の治療や予防に役に立ちます。このため、肝油を子どもでも食べやすいように甘く味付けし、ドロップの形にしたのです。日本では明治時代からつくられ、戦後食糧が不足した時代に栄養補助食品として普及しました。

肝油ドロップにはどのような栄養分が含まれていて、身体にどのような働きをもたらすのでしょうか。


■肝油ドロップに含まれるビタミンの作用■
肝油ドロップにはビタミンAやビタミンDが多く含まれています。

ビタミンAには、骨や歯の発育の促進や、肌や喉、鼻の粘膜を守り細菌をよせつけない役割や、暗いところで目が慣れて見えるようになる作用などがあります。チーズや緑黄色野菜などの食品に多く含まれています。

ビタミンDはカルシウムの吸収をサポートする力や、筋肉の増強を助ける力があります。サンマや鮭、シラスなどの魚介類や椎茸やシメジなどのきのこなどに豊富に含まれています。


■肝油ドロップにはどのような効能がある?■
ビタミンA、ビタミンDが多く含まれる肝油ドロップには、次のような効能があるといわれています。
・目の乾燥感の緩和、夜盲症の緩和、くる病の予防
・妊娠や授乳期、発育期、老年期の栄養補給

肝油ドロップは身体を強くしてくれる栄養素が含まれたサプリメントです。甘くておいしいからといってたくさん食べてよいものではありません。では、食べるときにはどのようなことに注意するべきなのでしょうか。

■摂取し過ぎるとどうなる? ■
ビタミンAやビタミンDは体に蓄積する性質をもっています。過剰に摂取すると、下痢や腹痛、嘔吐、皮膚のかゆみなどのビタミン過剰症を引き起こすことがあるので注意が必要です。
また、肝油ドロップに多く含まれているビタミンAは、妊娠期または、妊娠を予定している女性が過剰に摂取すると胎児への悪影響をおよぼす可能性もあります。肝油ドロップはお菓子の飴ではなく、あくまで栄養補助食品です。用法や用量を守って正しく服用してください。

肝油ドロップは、地域差がありますが現在でも学校や幼稚園で配られているところがあるようです。白くて甘い一粒でビタミンAやビタミンDがおいしく補給できる栄養補助食品は、今も昔も重宝されています。しかし、おいしいからといってお菓子のように摂取してしまうと、ビタミン過剰症を起こしてしまう危険性も含んでいます。肝油ドロップに添付されている方法をよく読み適量を食べるようにしてください。

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